断熱材と空調計画
極寒の北欧を参考に始まった高気密高断熱住宅の「影」
夏涼しく冬暖かい。理想的な住環境に近付けていく為に空調は大変重要です。
1階リビングで温めた空気を効率良く家全体に循環する。また汚れた空気を
室温を損なわず外に出して、新鮮な外気を取り入れる。
具体的には、一例としてリビングを吹き抜けにする事で、温まった空気が2階
に上がり、それを2階からダクトで1階に降ろし循環させます。
また廊下や洗面所へも送る事で、家全体を暖める事が可能になりました。
空気の入替えには、全熱交換型のダクト方式換気か、個室用換気扇を採用する
ことで、室温を逃がさず換気する事ができます。
このように温めた空気を閉じ込めておく住まいには、当然の事ながら断熱性と
気密性が求められます。大きな窓を開け風通しをよくする開放的な家造りとは
少し考え方を変えなければなりません。
夏涼しくする為に屋根軒先を長くしたり、窓の外側にルーバーを付けて直射日
光が入りにくくする事や、引き違いサッシを少なくして気密性を高め、冬季に
暖気を逃げにくくする事など、効果的な配慮が必要です。
今、国の政策として2020年省エネルギー基準法制化に向けての動きは、断熱性
能の高い住宅は、年間を通してエネルギー消費の少なくて済むとした考えに基づ
くものです。
ここで念の為の説明です。
最近よく高気密高断熱の表示を見る機会があり、殆どのお客様方はご存じです。またそのイメージをお尋ねしますと、●冬暖かい ●暖房費があまりかからない ●高くつく等、私の周辺ではマイナスイメージをあまり感じられません。
つまり、殆どのお客様方は影の部分を知らずにイメージされておられます。これではマイホーム計画の到達地点が間違ってしまう事になります。
高気密高断熱住宅の考え方は北欧の住宅を参考に、日本では北海道から始まったものだそうです。北欧では冬の外気が-20~30℃、北海道でも-10℃~以上にもなる厳しい環境です。わずかでも隙間があると、家の中の熱が
どんどん逃げてしまう!いくらストーブを焚いても暖まらない!それで徹底的に隙間をなくしていく。
そうすると、あと熱が逃げるのは窓になり、ガラスを2重3重にしたり、サッシを2重にしたり、最終的には窓をできるだけ小さく又は無くする。
こうして高気密高断熱住宅は進化してきたようです。夏場の風通しを完全に犠牲にして、厳しい冬を乗り切る工夫だったようです。
となれば、当然おろそかにできないのが換気という事になり、換気扇に命を預ける事になります。少しオーバーな言い方と思われるかもしれませんが、「住まいが病気を招く」事になりかねません。換気扇だけで四角い部屋の空気が入れ替わるのは無理というものです。
私たちの住む福井の気候風土が、普及著しい高気密高断熱住宅の定義とは少し違うことに、もうお気づきでしょうか?
サンワビルドが提唱している高気密高断熱住宅は、床・天井・壁の内装材に天然由来の自然素材を用いた「呼吸する家」です。数値的性能を鵜呑みすることなく、本物の健康的な家作りこそが施主様と目指す到達地点です。
断熱材の種類
木造住宅の断熱方法には、柱や梁などの構造体の隙間部分に断熱材を充填する充填断熱と、構造体の外側に断熱材を張る外張り断熱があります。
いずれも長所・短所を持ち合わせているので、うまく組み合わせながら、省エネ住宅を造り上げる必要があります。
・無 機 繊 維 系 ・・・・・ 高性能グラスウール・高性能ロックウール
・発砲プラスチック系 ・・・ ポリスエチレンフォーム・ウレタンフォーム・フェノールフォーム
・天 然 素 材 系 ・・・・ セルロースファイバー・羊毛・炭素コルク
サンワビルドの標準仕様Dシリーズは、・高性能グラスウール or 高性能ロックウールを使用。
グレードUP(オプション)として、・ウレタンフォーム・セルロースファイバー・羊毛を使用しています。
空調計画(熱源)について
気密性を高め高性能断熱材を採用しても、しっかりした熱源計画は必要です。
蓄 熱 暖 房
料金設定の割安な深夜電力を使って熱を貯め、日中に放出する。空気を汚さず理想的な暖房との触れ込みで電力会社も推奨するわで、一時流行りましたが、近頃ではあまり聞かなくなりました。当社でも採用が少ないです。
決して悪いという訳ではなく、電気料金が思った以上にかかる事が原因のようです。
暖房強化型エアコン
最近、このタイプのエアコンが新築住宅のリビング等のメイン熱源として、一台ほとんど採用されるようです。
従来型と違って、暖房機能が大幅にアップされており、お客様の反応も良いようです。
基本的にエコキュートと同じしくみで、触媒に二酸化炭素を採用しておりエコキュート(電気温水器)の普及に伴い人気が出ているようです。立ち上がりが速いのも魅力でしょう。
ヒートポンプ式温水床暖房
エコキュートから温水をリビング等の床に廻して温めるしくみで、消費電力が比較的小さく、エコキュートの普及に伴って人気になっているようです。
確かに床暖は従来から別として暖かく高評価を得ていますが、気密性が高く断熱性能がしっかりしている住宅では、どいうやら過剰暖房になりがちで殆ど使用されていないケースもあるようです。
表面温度を低く設定して補助暖房として採用される分には、問題ないと思います。
床暖房には伝熱線方式や灯油ボイラーで温水を廻す方式など、しくみによって設置費用や消費電力に差がありますので、注意が必要です。
また、電気ストーブやFF式温風暖房機を選ばれることをお薦めします。